ピエール=オーギュスト・ルノワールの晩年の作品で非公式で国家買い上げを前提に注文を受けた作品で、ルノワールの晩年の代表作です。
ルノワールは、印象派の体表的な画家とされていますが、印象派の表現方法からイタリア旅行を契機に古典主義の影響を受け、作風は大きく変化していきました。
本作品は、印象派と古典主義の作風がともに取り入れられている作品となっています。
また、同様の構図の作品を複数制作しています。
ピアノに寄る少女たち
「ピアノに寄る少女たち」
(1892年)
印象派の代表的な画家のルノワールですが、印象派としての活動の後、イタリア旅行で接したラファエロの作品に影響を受け、古典主義的な作風を試みるようになります。
本作品は光の表現を重視する印象派的な作風と線や物質の描写を重視する古典主義的な作風が融合したルノワールの独自作風の完成形と見られています。
暖色を多く使用し筆跡で少女たちの動きを表現してとても柔らかい印象を与えています。
特にピアノを弾く少女の服は、流れるような筆跡で描かれ、動きを感じます。
モデルの少女が誰であるか分かっていませんが、当時、ピアノを弾くことが出来るのは上流階級の人々のみであったため少女たちも上流階級の家庭の子達と思われます。
二人の少女の表情や髪の表現は流れるような筆跡と暖色により安らぎやぬくもりが感じられる表現となっています。
他の作品 ピアノに寄る少女たち
本作品を制作するにあたり、ルノワールは同じ構図で4作制作しています。
「ピアノに寄る少女たち」
(1892年)
上記のメトロポリタン美術館所蔵の作品は、青色を基本に寒色を多く使用されています。
「ピアノに寄る少女たち」
(1892年)
上記のオランジュリー美術館所蔵の作品は、背景は省略され少女たちも他の作品と比較して細かなところは省略されているように見えます。
オルセー美術館所蔵の作品が国家買い上げに選ばれた際、ルノワールは少し書き込みすぎたと述べていたと言われています。
ルノワールがどの作品が一番の出来としていたかは不明ですが、上記のオランジュリー美術館所蔵の作品はルノワールが大切にアトリエに保管していた作品です。
「ピアノに寄る少女たち」
(1892年)
「ピアノに寄る少女たち」
(1892年)
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