19世紀のイギリスの画家で、同時代のウィリアム・ターナーとともにイギリスを代表する風景画家ジョン・コンスタンブルの作品です。
本作品は、「干し草車」とも呼ばれることがありますが、作者自身は発表時に「風景:真昼」という題名を付けていました。
現在、イギリス絵画の最高傑作の一つとされていますが、展覧会への発表当時は買い手はつきませんでした。
発表当時、本作品の粗いタッチから未完成な作品として見られたとも言われています。
乾草の車
「乾草の草」
(1821年)
本作品は130.2cmx185.4cm と大きなキャンパスに描かれた作品で、ロイヤル・アカデミーの展覧会向けに制作した作品です。
作品は、コンスタンブルの実家付近の田園風景を描いています。
ロイヤル・アカデミーへの出展の際は買い手がつきませんでしたが、フランスのサロンへ出展された際は風景画にもかかわらず大きな評価を受け金賞を受賞しています。
フランスの画家、テオドール・ジェリコーからは称賛され、ドラクロワなどに影響を与えます。
ドラクロワはコンスタンブルに会うためにイギリスを訪れています。
作品の左に描かれている小屋は現在も保存されている小屋で度々、コンスタンブルの作品に登場しています。
乾草の車(干し草車)
乾草の車(干し草車)とは、刈り取って乾燥させて牧草などを運ぶ荷車のことで、本作品は乾草の車が川の中を馬に引かれて進んでいる様子を描いています。
川の中を行くのは、馬に水をすぐ飲ませることができる為と馬の脚と荷車の車輪を冷やすためです。
乾燥した暑さのなかでは、木製の車輪が縮んでしまい金属のリムから外れてしまくからのようです。
差し色として馬具に赤色を使用していると言われています。
乾燥の車を見る犬
川辺で犬が川の中を行く乾燥の車を見ています。
当初は、犬の横に馬と騎手が描かれておりましたが、コンスタンブルは最終的に馬と騎手を消し犬のみとしました。
小屋
作品中の小屋は、コンスタンブルも子供のころかよく見ていた小屋で、製粉所を経営する父親が小作農に貸していた小屋です。
煙突から煙が出ており、住人が在宅であることが分かります。
この小屋はコンスタンブルの作品に多く登場し、習作としてもよく描いていていました。
今でも現存しており小屋を借りていた小作農の名前ウィリー・ロッドのコテージとして保存されています。
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