ルネサンス後期の風景画家 ピーテル・ブリューゲルの代表的作品「雪中の狩人」です。
遠近法を巧みに使用して当時の人々の生活様子を描いています。
本作品は、1年を2カ月毎に四季の様子を描いた連作月歴画の全6作のうちの1作です。現存する5作のうちの1作で、1作は消失してしまっています。
アントワープの裕福な銀行家から依頼を受けて制作されたと言われています。
本作品の風景は、平坦な場所はブリューゲルの故郷のベルギー方面を描き、遠くの山並みはブリューゲルがイタリアへ旅行する際に通ったアルプスを描いたとされ、作品全体では実際の風景ではないようです。
作品 雪中の狩人
「雪中の狩人」
(1565年)
猟犬を連れた猟師2人が村へ戻るところが描かれています。取れた獲物がキツネ一匹だけだったようで肩をおとして疲れた様子の後ろ姿で描かれています。
左側に描かれているのは旅館で、看板の留め具がはずれて斜めになっています。
猟師たちの心情を表しているようです。
旅館の前では火が焚かれ、何か調理されているようです。
炎が傾いており、猟師たちにとって向かい風が吹いていることが分かります。
当時、豚の毛焼きは冬の風物詩だったようで、冬の保存食として毛以外は全て有効活用されていました。
この時代には既にスケートが行われていましたが、現在のように鉄製の刃ではなく、木製の刃を靴に紐で結んで楽しんでいました。
氷上でいろいろな遊びをしている人々が描かれいます。
暦画の他の作品
本作品「雪中の狩人」は冬を描いた作品で他に早春を描いた「暗い日」、夏を描いた「干し草の収穫」、秋を描いた「穀物の収穫」、晩秋を描いた「牛群の帰り」が現存しています。
暗い日
早春を描いた作品。謝肉祭の様子が描かれています。
右下の少年がワッフルを食べています。当時の謝肉祭では、ワッフルを食べてお祝いしたそうです。
「暗い日」
(1565年)
干し草の収穫
夏の様子を描いた作品。農民たちの日常の様子が描かれています。奥で干し草を刈り、馬車にのせている人々が描かれています。
「干し草の収穫」
(1565年)
穀物の収穫
秋の様子を描いた作品。小麦の収穫と木陰で食事をしながら休憩している農民たちが描かれています。
「穀物の収穫」
(1565年)
牛群れ帰り
晩秋の様子を描いた作品。夏の間、牧草地で過ごした牛を越冬のため村へ戻している様子が描かれています。
「牛群の帰り」
(1565年)
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