イングランド初の女王として即位したジェーン・グレイ、在位は9日間だけでその後、処刑されてしまいます。
望みもしない女王に即位し、16歳という若さで断頭台に向かうジェーン・グレイを描いた作品です。
画家は19世紀のフランス人画家で最年少で国立アカデミーに選出されたポール・ドラローシュです。
パリのサロンに出展された際も評判となった作品のようです。
ポール・ドラローシュの「自画像」
作品:レディ・ジェーン・グレイの処刑
作品では処刑場所が暗い地下室のような部屋を描かれていますが、史実ではロンドン塔の屋外のタワー・グリーンという広場で行われました。
ジェーン・グレイの服装も黒だったと言われています。
「レディ・ジェーン・グレイの処刑」
(1833年)
本作品では、主人公のジェーン・グレイが他の人物よりも小さく描かれています。また、舞台の一場面のように描かれ演劇のような効果を与えています。
また、本作品は画面をきれいに3分割したスペースごとに人物を配置。また、主人公を中心の三角形の中に配置して、とても見やすい構図で描かれています。
各人物の描写
史実とは違う様子で描かれた悲劇的な場面では、ドラローシュは登場人物たちもこの悲劇への心情を表現させているようです。
侍女
前方の侍女は耐えられず失神してしまったような表情です。膝にはジェーン・グレイが身につけていた宝石類が置かれています。
後方の侍女は見ていられず背を向けています。ジェーン・グレイの悲劇に対して抗しているようにも見えます。
執行人
自分がこれから処刑を執行しなければならない男性も悲劇の少女を憐れんで見ているようです。
ジェーン・グレイと司祭
ジェーン・グレイに話しかける司祭に対してジェーン・グレイはかたく口を閉じているように見えます。
プロテスタントのジェーン・グレイはカトリックへの改宗をすれば処刑だけは免れたようですが、彼女は改宗を拒否しています。
司祭はカトリックの司祭のためジェーン・グレイは口を閉ざしていると思われます。
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