19世紀のフランス人画家で象徴主義の代表的な画家ギュスターヴ・モローがギリシャ神話を題材にして制作した作品です。
象徴主義とは、モローのように目に見えない内面的な世界を詩や絵画で表現しようとしたした芸術運動です。
「オルフェウス」はモローのキャリア初期の作品で、本作品の評価で画家として認められるようになりました。
ギュスターヴ・モロー「自画像」
(1850年)
作品 オルフェウス
本作品は、ギリシャ神話を題材にした作品です。オルフェウスとは詩人、音楽家で竪琴の名手でした。
彼の奏でる音楽は鳥や動物、草木まで魅了しました。
そんなオルフェウスですが、蛇に噛まれて亡くなった最愛の妻を冥界から取り戻そうとします。
しかし、失敗してしまい、その後は、他の女性たちの求愛を拒み続けたため女性たちに八つ裂きにされ川に投げ捨てしまいます。
しかし、川に投げ捨てられ流されながらも悲しく歌い続けたという物語です。
「オルフェウス」
(1865年)
本作品でモローは、川を流れるオルフェウスを若い女性が助け出した様子を描いています。
オルフェウスの首は竪琴にのせられ、悲しげな表情で描かれています。
象徴主義
モローが活躍した19世紀後半は、写実主義や印象主義が登場、活躍しはじめた時代で、古典や神話を描く絵画を古臭いとされ、評価されない時代でした。
しかし、モローは新しいものを作成するよりも、既に描かれている宗教画や神話画などを違うアプローチで作り変えることを試みました。
また、内面的、精神的な表現を重視した作風を目指しました。
「オルフェウス」では、オルフェウスの表情、オルフェウスを見つめる若い女性の表情など鑑賞者それぞれに作品へのイメージを委ねているようにも感じられます。
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