19世紀のイギリス人画家エドウィン・ロングの作品で、古代ギリシアの歴史家ヘロドトスが著した歴史書「歴史」に記載されていた情景をロングが空想して描きました。
本当は作品名にあるような古代都市のバビロンの風習ではなく、古代ギリシア時代のバルカン半島での風習のようですが、年に一度、全村の結婚可能年齢の娘を集め競りにかける風習があったようです。
本作品では、多くの登場人物が描かれていますが、白い石壇の前に座っている娘たちがとても印象的です。
エドウィン・ロングは、ラファエロ前派のミレーなどと同時代の画家で、スペイン旅行の際にベラスケスの影響を受けた画家で、オリエンタル風の作品を多く描きました。
作品 バビロンの花嫁市場
「バビロンの花嫁市場」
(1875年)
人々の視線は壇上のベールを被った女性に向けられ、競りの主催者らしき左の男性の右手も女性に向けて視線を向けるような仕掛けとなっています。
うすく描かれている部屋に差し込む光も壇上の娘に向かって差し込んでいるように描かれています。
しかし、本作品の主役は壇上の前に座りこちらを見つめる中央の娘とされています。
壇上前の娘たちの黒髪と石壇の白が明暗対比されています。
石壇の上の競りにかけられている娘を前面から描くのではなく、これから競りにかけられる娘たちを前面に描いて、この娘達にこれから起こることをストリー性を持って描いています。
花嫁市場で競りにかけられる娘たちは、結婚を強制されるのではなく娘の同意なしには結婚できず、他の男性と結婚することもできたそうです。
そのため娘たちの様子もそれほど悲壮感を感じないのかもしれません。
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