17世紀のバロックの巨匠でさまざまなジャンルの絵画を残し、外交官としても活躍したピーテル・パウル・ルーベンスの作品です。
祭壇画の本作品は下絵も含めて4点残されています。アニメ「フランダースの犬」の最終話でネロとパトラッシュが天に召されるときに登場した作品で有名です。
また、本作品にはルーベンスの亡き妻も描かれています。
作品 聖母被昇天
「聖母被昇天」
(1625-1626年)
聖母が天へ昇る様子を描いた作品です。イエス・キリストが天に昇る様子は単に昇天とされますが、聖母の場合は神やイエス・キリストの導きにより天に召されるので被昇天と呼ばれます。
聖母の足元には多くの天使たちが描かれ、聖母を上へ押し上げている様子が描かれています。
作品の左上部には大きめの天使が2人描かれ、聖母に花の冠を被せようとしています。
「聖母載冠」と呼ばれる宗教画の題材の一つで、いろいろな画家が「聖母載冠」を主題に作品を描いています。
作品全体はバロックの特徴でもある左上から右上に伸びるように綺麗な構図になっています。
亡き妻を描き加える
本作品を制作した1ヵ月ほど後、ルーベンスの妻イザベラ・ブラントが亡くなってしまいます。
ルーベンスは作品に亡き妻を描き加えたと言われています。聖母の下で空になった棺を覗き込んでいる赤い服の女性がイザベラ・ブラントと考えられています。
「イザベラ・ブラントの肖像」
(1625年頃)
他3点の「聖母被昇天」
ルーベンスは「聖母被昇天」を下絵も含めて他に3点制作しています。
「聖母被昇天」
(1613-1620年頃)
「聖母被昇天」
(1616-1618年頃)
「聖母被昇天(下絵)」
(1622-1625年)
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