19世紀に活躍したドイツのロマン主義を代表する画家カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの作品です。
発表当初は、人々には理解されず評価を得られなかったようです。
フリードリヒは本作品で氷塊と岩礁に衝突して難破した船の残骸と大きな氷と冷たい海の様子を描き自然の巨大さを描いたと考えられます。
また、本作品はフリードリヒの幼少期の悲しい経験を表現しているという説もあります。
フリードリヒは13歳の頃、凍った川でスケートをしていた時に氷が割れて溺れ、その際、一歳下の弟が彼を助けようとして溺死してしまいます。
この出来事は、フリードリヒを長く苦しめることとなります。
作品 氷の海
「氷の海」
(1823-1824年)
本作品では、難波し破壊された船と自然の巨大さを表す大きな氷塊が描かれています。また、青く輝く空は何も無かったように地表を照らしています。
本作品は、空気遠近法が使われています。手前から茶色→灰色→薄青→青で描かれて奥へ行くほど明るい色で描かれています。また、奥の氷塊は薄い色で描かれています。
作品中では、氷塊がランダムに描かれているように見えますが、ある規則に沿って描かれています。
中央の氷塊は中央線から左に飛び出ており、中央を頂点に対角線を引いた三角形の斜めの線からも少し先端が飛び出して描かれ、視線を左に誘導しています。
中央線より右の氷塊の先端は三角形の対角線上となり、線を出ていません。
視線が誘導さえた左側には別の氷塊が描かれていますが、その角度は作品下の中央との対角線に沿っています。
空気遠近法と構図に規則性をもたすことで、一見、規則性がないように描かれている作品にまとまりをもたせています。
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