ロセッティ 「受胎告知」

絵画

イギリス人でジョン・エヴァレット・ミレーとともにラファエル前派を結成したダンテ・ゲイブリエル・ロセッティが描いた作品です。

ラファエル前派は当時の画壇で主流となっていたルネサンスの巨匠ラファエロ・サンティのような画風に異を唱えた運動で、ルネサンス以前の中世や初期ルネサンスの技法を取り入れようとしました。

ラファエル前派は、題材に中世の伝説や文学のほか宗教的な場面を描くことが多かったのですが、伝統的な構図を無視して描くことが多かったようです。

作品 受胎告知

宗教画でよく題材にされる天使ガブリエルが現れ、マリアにイエス・キリストを妊娠することを告げる場面を描いています。

よく題材にされて場面であり、構図や描き方は決まったものとなっていたのですが、ロセッティは決まった構図や描き方を無視した描写をしています。

受胎告知
1850年

1850年
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
「受胎告知」
テート・ギャラリー(イギリス)

伝統的な構図では、天使ガブリエルは左、聖母マリアは右に並んで配置されますが、本作品では左、右の配置は守りつつ奥行きを持たせ、左右に並んでいません。

受胎告知」(レオナルド・ダ・ヴィンチ
1472-1475年

1472-1475年
レオナルド・ダ・ヴィンチ
「受胎告知」
ウフィツィ美術館蔵(イタリア フィレンツェ)

受胎告知」(フラ・サンジェリコ
1440-1445年

1440-1445年頃
フラ・サンジェリコ
「受胎告知」
サン・マルコ美術館蔵(イタリア フィレンツェ)

また、イエス・キリストを自身が妊娠することを告げられたマリアの表情はとても不安げに描かれています。

マリアを聖なる存在ではなく、普通の少女として描いているようです。

ロセッティは妹をモデルにマリアを描いたと言われています。

また、ロセッティは本作品を色の三原色を利用して単調な色彩でえがいており、三原色で天使ガブリエルとマリアを囲み、鑑賞者の視点を人物に集中させていると思われます。

伝統的な構図や描写を無視しつつも、聖母マリアの象徴とさえる百合や鳩を作品には描いており、作品が題材とした場面「受胎告知」を示しています。

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