ルネサンス盛期の画家でミケランジェロやラファエロと同年代の画家ロレンツォ・ロットの作品です。
ロットは、ルネサンスの巨匠たちと同年代ですが活動拠点を度々かえたうえ、画風も独自のものを開拓していきました。
その為、ロットは「反骨の画家」「流浪の画家」などと呼ばれています。
ロットはヴェネツィアで生まれますが、当時ヴェネツィアには、後にヴェネツィア派と呼ばれるジョルジョーネやティツアーノが既に活躍していた為、ロットはヴェネツィアをはなれたようです。
ロレンツォ・ロット
ヴェネツィアで生まれたロットは、既に著名となったジョルジョーネやティツアーノが活躍していたヴェネツィアを離れ、各地で注文を得ながら活動しながら徐々に人気を得ていたようです。
そんななか、ローマ教皇のヴァチカン宮殿の部屋の改修にラファエロ・サンティとローマに招かれます。
ロットとラファエロはともにヴァチカン宮殿の部屋を改修しますが、ラファエロが改修した部屋はその後、「ラファエロの間」として残されますが、ロットの改修した部屋は取り壊されてしまいました。
ローマでのチャンスを生かすことが出来なかったロットは、その後、イタリア各地で活動しながら作品を制作しますが、経済的にも困窮し最後は修道院で76歳で亡くなっています。
作品 キリストの奉献
ロットが亡くなる1年前に修道院で制作した作品で、当時、ロットはほとんど視力を失いつつあり精神も患っている状況でした。
そのような自身の精神的内面を表現した作品として有名です。
「キリストの奉献」
(1552-1556年)
本作品は、二層の構図になっており下半分は聖母マリアと聖ヨゼフが赤ん坊のイエス・キリストをエルサレム神殿に連れてきてたところを描いています。
これかれイエス・キリストがのせられて清められる白く布をかけられた台の足が人の足となっていますが、イエス・キリストを表しています。
上半分は、暗く誰もいない部屋が描かれ、右側の扉から老人が中を伺っている様子が描かれています。
この中を伺う老人がロット本人とされ、部屋に飾られている絵画はロットの作品と考えられています。
当時のロットの孤独な精神状況を描いていると考えられます。
ロットは下半分に自身の信仰を上半分に自身の内面を描いたと考えられます。
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