フィンセント・ファン・ゴッホの晩年の作品で「ひまわり」とともに代表作とされています。
精神を病んで精神病院の病室で制作された作品です。
病室の窓から外を眺めた景色と思われた時がありますが、病室の窓からの景色ではなくゴッホの過去の記憶や想像が描かれた作品と考えられています。
パリで学んだ印象派の色を混ぜないで描かれており、鮮やかな色彩と強い筆跡で鑑賞者に強い印象を残す作品となっています。
作品 星月夜
ゴッホがフランス南部のサン=レミの精神病院に入院後に病室で制作した作品で、当時は糸杉を題材にした作品を他にも制作しています。
糸杉には「生」と「死」の反対の意味を両方持ち合わせており、当時のゴッホは好んで描いていたようです。
「星月夜」
(1889年)
糸杉を作品の前面に描き、作品に奥行きを持たせている効果を与えています。
画面を下から突き抜けて糸杉が描かれており、主題を前面に配置した構図など浮世絵の影響も考えられるとも言われています。
作品中の街並み
糸杉は実際に病室の窓から見ることができましたが、病院の周りは田園が広がっているだけで街並みを見ることはできません。
また、南仏のサン=レミにある教会はドーム型の屋根をもつ南仏で一般的なもので、作品中の教会はゴッホの故郷のオランダ地方の教会です。
ゴッホの記憶に残った街並みや想像を描いたようです。
作品中の夜空
鮮やかな濃紺の色彩の夜空にと黄色い月と星の描写、うねる筆跡でとても印象的な描写となっています。
色鮮やかな色彩は色を混ぜ合わせない印象派の影響が考えられます。ゴッホはパリ滞在期に印象派の画家と親交を持っています。
本作品は、ゴッホが弟のテオに宛てた1889年6月18日の手紙内で述べており、制作したおおよその月日がわかっています。
1889年6月18日付近の月はもっと丸みを帯びていたことが判明しており、作品中の月の描写は実際の月の描写ではありません。
糸杉の横に描かれた明るく光る星は金星だと思われ、うねるような筆跡は天の川を表現していると思われます。
作品の上部の星は現在のところ、具体的な星座を描いたのかどうかは判明していません。
夜空も街並みと同様、過去の記憶と想像による描写だとされています。
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