印象派の代表的な画家クロード・モネが制作した「キャピュシーヌ大通り」は第一回印象派展に「印象 日の出」とともに出品された作品です。
モネはキャピュシーヌ大通りを題材に作品を2点制作していまうすが、第一回印象派展にどちらが出品されたかはわかっておりません。
展示会で酷評された「印象 日の出」同様に本作品の評価も低く、モネが意図した作品での表現は理解されなかったようです。
2点の作品はアメリカ カンザスシティにあるネルソン・アトキンス美術館とロシア モスクワのプーシキン美術館にそれぞれ所蔵されています。
作品 キャピュシーヌ大通り(ネルソン・アトキンス美術館蔵)
「キャピュシーヌ大通り」(ネスソン・アトキンス美術館蔵)
(1873-1874年)
それまでのアカデミズムな画法では人間の描写は丁寧に行はなければならないとの常識でしたが、モネは大通りの人の個々の描写よりも大通りの人の行きかう様子の描写を優先しました。
大通りの人々の描写はラフな筆跡で表現しており、個々の人々ははっきりと描かれてはいないものの動きのある表現がされています。
モネは基本的に光の描写を重視する画家で「印象 日の出」でも光の移り変わりを表現しようとしています。
一方で、本作品「キャピュシーヌ大通り」では光の描写ではなく大通りの人々や馬車の動き、パリの雑踏など光と同様に一定で留まらないものを表現しようとしたのかもしれません。
作品 キャピュシーヌ大通り(プーシキン美術館蔵)
ネルソン・アトキンス美術館所蔵の作品とは逆にプーシキン美術館に所蔵されている作品は暖かい色で描かれています。
こちらの作品は夕日に照らされた印象を受けます。一方、ネルソン・アトキンス美術館蔵の作品は冬の朝方のような印象を受けます。
モネは2作制作することで時間と光の移り変わりを描こうとしたのかもしれません。
「キャピュシーヌ大通り」(プーシキン美術館蔵)
(1873年)
こちらの作品では右側で通りをみおろす2人の男性が描かれ、通りの人々もネルソン・アトキンス美術館所蔵の作品よりははっきりと描かれているようです。
2作品のうちどちらが第一回印象派展で展示されたかは判明していませんが、第一回印象派展はモネが実際にキャピュシーヌ大通りを見下ろして作品「キャピュシーヌ大通り」を制作したアトリエで開催されたため鑑賞者は実際のキャピュシーヌ大通りの光景と作品を見比べることができました。
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