17世紀オランダの画家でバロックの巨匠レンブラント・ファン・レインのキャリア初期の作品「アトリエの画家」です。
「アトリエにいる風景」という作品名でも呼ばれています。
レンブラント初期の作品のなかでも代表的な作品で、作品制作に対する当時の画家の心理状況を表現した作品だと言われています。
作品 アトリエの画家
本作品内の画家はレンブラント本人と考えられていますが、異論もあり確定はしていません。
「アトリエの画家」
(1628年頃)
本作品でまず印象を受けるのは、画家とイーゼルの大きさの違和感です。
手前のイーゼルは画家と比べると非常に大きく描かれ、また、通常イーゼルと対面するように描かれる画家は、本作品では微妙な距離を開けて描かれています。
これおから制作する作品の構成などについて、決心がつかない様子を描いているのかもしれません。
また、その微妙な距離感を、アトリエに差し込む日が照でより強調しており、そこには何も物が描かれていません。
なかなか決心ができない一方で、イーゼルの正面に行き作品を制作することは、画家にとっては楽しく明るい時間となることを表現しているのかもしれません。
また、イーゼルはドアのあるアトリエの奥への道をふさいでいるようにも見えます。
作品制作をはじめると、集中しなければならいという事かもしれません。
画家の表情は無表情に近い描写で、鑑賞者それぞれが画家の心情を考えることができます。
画家の後ろの壁にはパレットと、その下に顔料をすり潰すときに使う石が描かれています。
アトリエは漆喰がはがれているなど質素にえがかれており、これから画家として成功していく自身の希望を描写しているようです。
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