当初、セザンヌは、モネやルノワールとともに印象派の一員として活動していました。
第一回(1874年)、第三回(1877年)の印象派展にも出展しています。
しかし、徐々に印象派の手法に不満を抱くようになっていったようです。
印象派への不満
印象派の影響を受け、セザンヌも多くに風景画を描きましたが、当初より、他の印象派の作品とは違う印象を受ける作品を発表しました。
(初期の作品)
全体的に力強い筆遣いで、光の描写より対象物をしっかり描くことを重視しています。
彼は、次第に「光の移り変わりが重視され、対象物の存在がおざなりになりがち」印象派の手法に不満を抱くようになっていきました。
そして、1877年の第三回印象派展への出展後は、展覧会へ出展することは無くなり、独自の画風の確立に取り組みはじめます。
サロンへの出品を優先させたとも言われています。
単純化と多角的視点
セザンヌは、人間が対象物を捉える本質的な感覚を描写しようと試みます。
「果物を見る際は、球体と認識し、一個一個のしわなどは認識しない、風景をながめている際、木の葉の一枚一枚を見ないように」などを表現しようとしました。
自然は単純化できる。
セザンヌは、自然の構造物を円筒、球、円錐のいずれかで単純化できるとしました。例えば、「木は円筒、太陽は球、山は円錐」 などです。
「サント=ヴィクトワール山」
(1904年)
多角的視点で描写
セザンヌは遠近法を否定し、多角的視点から対象物を見た描写を試みました。
上の作品では、6、7視点から見た状況を描写しています。
セザンヌは、「自然にならって絵を描くことは、対象を模写することではない、いくつかの感覚を実現させることだ」
「絵画には、二つのものが必要だ。つまり眼と頭脳である。この両者は、お互いに助け合わなければならない。」と述べています。
この手法はキュビズムと言われ、ピカソの画法に受け継がれていきます。
セザンヌは、この新たな試みで「現代美術の父」と言われています。
日本最大級の印象派・ポスト印象派のコレクション/ポーラ美術館
日本国内でも、印象派、ポスト印象派の作品を鑑賞することができます。
なかでも、箱根なあるポーラ美術館は、国内最大級の印象派とポスト印象派のコレクションを誇っています。
(所蔵する代表的な印象派、ポスト印象派の画家)
- クロード・モネ:「睡蓮の池」「睡蓮」、他17点
- ピエール・オーギュスト・ルノワール :「レースの帽子の少女」「裸婦」、他15点
- ポール・セザンヌ:「4人の水浴の女たち」「プロヴァンスの風景」、他7点
- フィンセント・ファン・ゴッホ:「アザミの花」、他2点
- ポール・ゴーギャン:「小屋の前の犬、タヒチ」、他3点
(ポーラ美術館コレクション展)
2021年7月9日(金)~9月5日(日) 大阪のあべのハルカス美術館でポーラ美術館コレクション展が開催されています。
印象派、ポスト印象派の作品が多く展示されているようです。
(目録のPDFで作品が確認できます)
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