盛期ルネサンス期の画家で、ヴェネチアで生まれヴェネチア派の巨匠ティツィアーノなどの影響を受けながら、各地を転々としながら作品を制作したが画家ロレンツィオ・ロットが描いた「受胎告知」です。
多くの画家たちに描かれた受胎告知ですが、ロットは他の画家達と違った描写をしており、ロットが形式的な描写からより人間的な内面を描こうとしていたことが伺えます。
本作品はティツィアーノの「受胎告知」の影響を受けているとも言われています。
作品 受胎告知
多くの画家が制作した受胎告知の場面ですが、本作品はとても異質なものとなっています。
通常、神からイエス・キリストを受胎することを告げられる聖母マリアは神々しく貞淑な様子で描かれるのですが、本作品では違う描写がなされています。
「受胎告知」(トレンツィオ・ロット)
(1527年)
他の画家の作品では聖母マリアは静かに神からの告知を聞く様子で描かれますが、本作品では突然現れた天使に驚いている様子で描かれています。
聖書を読んでいたところに、突然現れた大天使ガブリエルに驚き逃げ出すところのような描写です。
神々しさや聖性を感じることはなく、とても人間味のある聖母マリアが描かれています。
聖母マリア同様に猫も驚き逃げ出しています。
逆に、大天使ガブリエルは神々しく人間離れした印象を受ける描写がされています。
腕を天上に向けてあげて、その先には神が聖母マリアにむけ意思を伝えようとしているようです。
ロットの「受胎告知」は、他の画家の「受胎告知」とは異質な描写がさえていますが、ティツィアーノの「受胎告知」から着想を得たのではないかと考えられています。
「受胎告知」(ティツィアーノ・ヴェチェッリオ)
(1519-1520年)
ティツィアーノは聖母が天使に向かって振り向いて、驚いて本を落とした描写をしています。
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