へラルト・テル・ボルフ 「意味ありげな会話」

絵画

17世紀オランダ黄金期にヨーロッパ各地で活躍した画家へラルト・テル・ボルフの作品「意味ありげな会話」です。

オランダ黄金期の画家へラルト・テル・ボルフですが、同時期の画家のような筆跡を残した作風ではなく、丁寧に描きこむ作風とされ、衣類のひだなど織物の表現に優れた画家と言われています。

また、本作品「意味ありげな会話」は20世紀の初期までの解釈と20世紀後半以降の新たな解釈が全く違う解釈となっている作品です。

20世紀初期までの解釈は父親が娘を諭したり戒めている様子を描いた作品と解釈されておりましたが、現在は、男性が売春宿で娼婦と交渉している様子を描いたと解釈されています。

本作品は画家自身により2点制作されています。

作品 意味ありげな会話

作品の登場人物は若い女性と兵士と思われる男性、年老いた女性ですが20世紀初頭までとその後で作品の解釈が大きく変わった作品です。

意味ありげな会話」(アムステルダム国立美術館所蔵)
1654年頃

1654年頃
へラルト・テル・ボルフ
「意味ありげな会話」
アムステルダム国立美術館蔵(オランダ アムステルダム)

20世紀初頭までは、父親が娘に対して何か注意をしており、娘はそれをうつむきながら受け入れ、母親がそれを聞いている様子だと解釈されていました。

しかし、現在では父親とする男性が持ち物や服装から兵士であること、娘の父親でとなりの年老いた女性の旦那とすると若すぎること。

また、女性の横のテーブルには鏡、櫛、垂れ下がったリボンが描かれており、作品の場面がこの若い女性の部屋であること。

男性の後ろには、綺麗とは言えない雑種の犬がおり、着飾った女性とは対照的で裕福な家族の空間ではないような印象であること。

上記のことから、現在は売春宿で兵士が娼婦と交渉している様子が描かれたのではないかとの解釈が有力です。

もう一点の作品では男性があげている手に硬貨が描かれていることが判明しており、現在の解釈が正しい可能性が高いと言われています。

意味ありげな会話」(ベルリン絵画館所蔵)
1654年頃

1654年頃
へラルト・テル・ボルフ
「意味ありげな会話」
ベルリン絵画館蔵(ドイツ ベルリン)

本作品で描かれている女性のサテンのドレスの描写は質感までイメージできる描写です。暗い背景に鮮やかなサテンのドレスで鑑賞者の視線が一番に向けられるように描かれており、後ろ姿のみの描写の若い女性を魅力的にしています。

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