17世紀前半のオランダの画家ディルク・ファン・バビューレンの作品「ルカヌスに鎖で繋がれるプロメテウス」です。
バビューレンの活動期間は短く作品もあまりのこっていません。バビューレンは明暗対比を特徴とするカラヴァジョの作風を作品に取り入れ、その後のオランダ黄金期の画家たちにも影響を与えます。
本作品「ウルカヌスに鎖で繋がれるプロメテウス」でも明暗対比と人の逆さの状態の様子、日に焼けた肌の描写など、カラヴァジョを参考にしていると言われています。
また、前面短縮法で描かれたプロメテウスはルーベンスの「繋がれたプロメテウス」と同様の構図となっており、影響をうけていると考えられています。
作品 ウルカヌスに鎖で繋がれるプロメテウス
ローマ・ギリシャ神話に出てくる神々を描いた作品で、ウルカヌスは鍛冶の神でプロメテウスは人間に火を与えた神です。
「ウルカヌスに鎖で繋がれるプロメテウス」
(1623年)
プロメテウスは人間に火を与えたことにより、ゼウスの怒りをかいゼウスに山に磔にされ鷲に肝臓をついばまれ続けるという罰をうけます。
多くの画家が描いた場面ですが、バビューレンは山ではなく冥界でプロメテウスが縛られている設定をした唯一の画家です。
背後で見ている神は伝令を司る神メリクリウスで、プロメテウスが罰を受けていることをゼウスに報告するために見ていると思われます。
本作品では明暗対比のなかで褐色のウルカヌスと頭を下にした逆さの状態のプロメテウスが描かれていおり、カラヴァジョの作品「聖パウロの回心」から影響を受けているのではないかと言われています。
「聖パウロの回心」
(1600年)
また、前面短縮法で描かれたプロメテウスはルーベンスの「繋がれたプロメテウス」と同様の構図となっており、着想を得たものと思われます。
「繋がれたプロメテウス」
(1611-1618年)
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