17世紀オランダ絵画全盛期の女性画家ユディット・レイステルの作品「セレナーデ」です。
当時、女性が画家として活躍するのは非常に珍しくまた難しかった時代ですが、レイステルは自身の工房をもち弟子たちを指導するまでの有名画家として成功しました。
また、彼女の作品は同時期の画家フランス・ハルスと似たような様式であったため、ハルスから影響を受けていることは明らかだと言われています。
ハルスと同じ作風のため、彼女の死後は彼女の作品の多くがハルスの作品と誤った鑑定がなされ、しばしば彼女の署名も上書きされ消されてしまっていたようです。
「自画像」(ユディット・レイステル)
(1630年頃)
作品 セレナーデ
本作品「セレナーデ」はフランス・ハルスの「リュートを弾く道化師」から影響を受け制作された作品だと考えられています。
「セレナーデ」
(1629年)
「リュートを弾く道化師」(フランス・ハルス)
(1623年)
レイステルの作品「セレナーデ」でのリュート奏者は、画面外の照明から右腕と右肩に光を照らされ、その反射を顔に受けているような描写で顔にも明暗の対比が描写されています。
フランス・ハルスの作品では見ることのない光の描写方法で、よりカラヴァジョの明暗対比の強い様式に似せた作品となっています。
また、明暗の描写は画面対角線にて強く対比されています。
明暗対比とともに、リュート奏者がはく赤いズボンの描写が意図的に粗く描かれ、ピンボケの様な印象を与え、鑑賞者がリュート奏者の近くで見上げている印象を受ける効果を与えています。
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