ターナー 「国会議事堂の火災」

絵画

英国で最も偉大な画家とも呼ばれるジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの作品「国会議事堂の火災」です。

1834年10月16日の夕方、ロンドンの国会議事堂で火災が発生。火災を聞いたターナーは現場に駆け付けスケッチブック2冊分に及ぶスケッチしたと言われています。

そのスケッチをもとに2作品「国会議事堂の火災」を制作しています。

光や大気の様子の描写に興味を持っていたターナーは火災による建物の様子よりも炎の様子や光の様子の描写に重点が置かれた作品となっています。

この火災の後に、ロンドンで有名ない時計塔のビック・ベンが建てられています。

作品 国会議事堂の火災

ターナーは、スケッチを他人に見られるのを嫌う画家でしたが、この時は人の目を気にすることなく火災の様子をスケッチブック2冊分スケッチしたようです。

また、ターナーは場所を変えて違う視点からこの火災をスケッチし作品も2作のこしています。

国会議事堂の火災
1834‐1835年

1834‐1835年
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
「国会議事堂の火災」
フェラデルフィア美術館蔵(アメリカ フェラデルフィア)

このバージョンは河岸からの視点で描いたものです。

実際よりも誇張した遠近法で描写した橋や炎の光、群衆の視線など火災に視線を誘導する仕掛けがされています。

また、群衆や洋上の船の描写を粗いものにして、詳細な炎の描写と対比しているようです。

別の視点から描いた作品は、遠くから見た様子で描かれ、炎と煙の大きさと炎により暖められた大気の動きも感じる作品となっています。

国会議事堂の火災
1834‐1835年

1834‐1835年
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
「国会議事堂の火災」
クリーブランド美術館蔵(アメリカ クリーヴランド)

このバージョンでも、視点が炎に誘導さえるような仕掛けがされています。

ターナーは、イタリア旅行の際に、太陽が降り注ぐ光の様子とそれに溶け込む美しい街並みを見た影響から色彩の描写に強く興味を惹かれ、物の形の描写よりも色彩の描写や光、大気の描写に重点を置く作品を制作するようになったと言われています。

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