印象派の画家とされることが多いですが、写実的な描写が多い画家ギュスターヴ・カイユボットの作品「ヨーロッパ橋」です。
上流階級出身のカイユボットは画家として印象派展に作品を出品したほか、経済的にも印象派の画家たちを支援しました。
現在、オルセー美術館に所蔵される印象派画家の多くの作品がカイユボットが生前、印象派画家支援の為に購入していた作品で、カイユボットから遺贈されてものです。
ヨーロッパ橋は、現在ヨーロッパ広場と呼ばれている場所で、ここを起点にヨーロッパ6都市の名を冠した通りが放射状に延びていることからヨーロッパ橋と呼ばれました。
本作品はウィーン通りからの様子を描いています。
作品 ヨーロッパ橋
本作品は近代化が進むパリ市内で、クロード・モネも題材として描いたサン・ラザール駅の上に架けられた橋を描いています。
「ヨーロッパ橋」
(1876年頃)
本作品は第3回印象派展に出品されています。
印象派の多くの画家と交流し、支援していたカイユボットですが自身の作品は光の揺らめきの描写や筆触分割での描写は行っておらず、写実的描写の作品となっています。
第3回印象派展にはモネが連作「サン=ラザール駅」を出品しており、主題が関連するものとなっていました。
「サン=ラザール駅」(クロード・モネ)
(1877年)
この橋の下はサン=ラザール駅となっており、機関車からのものであろう煙がそらに伸びる様子が描かれています。
機関車の煙のほか画面に大きく描かれた橋、奥に描かれた別の橋と建物が急速に進むパリの近代化を表してます。
急激に進む近代化と対照的に、ぼんやりと下を眺めている労働者階級の人々が描かれています。
本作品は、遠近法が特徴的で橋や道路の描写でより強く印象付けられています。
遠近法の消失点が集まっている男性はカイユボット自身がモデルとして描かれています。
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