印象派の代表的な画家で当時ではまだ珍しかった女流画家のベルト・モリゾが姉のエドマを描いた作品「読書」です。
モリゾとエドマ姉妹は共に画家を志していましたが、姉エドマは結婚、出産を機に画家の道を諦めてしまいます。
当時はまだ女性が画家として活躍することは難しく、特に結婚後も画家を志すことは困難だったようです。
共に画家を志していた妹のモリゾは、エドマが画家を諦めざる得ないことをとても残念に思いていたことが手紙など述べています。
モリゾの方は、印象派の先駆け的な画家で実家が裕福でもあったエドワール・マネの弟でモリゾの画家としての才能、活動に理解していたウジエーヌ・マネと結婚したことにより、結婚後も画家として活躍しています。
作品 読書
本作品は、モリゾが姉のエドマが別荘の庭で読書をする様子を描いた作品で、第一回印象派展に出品しています。
「読書」
(1873年)
エドマ、モリゾ姉妹の父は市長を務めるような上流階級の家で、姉エドマは海軍士官と結婚してこともあり作品中のエドマの服装も上品な服装に感じられます。
また、読書に集中する様子には教養の高さが伺えます。
背景の庭の緑と服の白の対比が印象的で姉エドマを引き立てています。
作品左には、開いたまま置かれた日傘が描かれ、右には開いたままの扇子が描かれています。
日傘や扇子の使用途中の状態の描写は、画家への志なかばで諦めざる得なかった姉の心を表しているかのようです。
背景の庭の様子は、軽く筆跡を残すのみのような描写で姉エドマに鑑賞者の視線が行くように描かれています。
モリゾ姉妹は共にカミーユ・コローに指示していたことがあり、コローの影響が表れた描写とも言われています。
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