ムーラン・ルージュは1889年にパリのモンマルトルに開店、人気のダンサーや個性的な内外装でパリ随一のナイトクラブ(キャバレー)で、現在でも人気の観光地となっています。
娼婦や踊り子など夜の仕事に従事する女性を多くえがいたアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックはムーラン・ルージュの様子もよく描いており、その中の一つの作品「ムーラン・ルージュにて」です。
本作品「ムーラン・ルージュにて」では、ロートレック本人のほか、多くの知人を描き入れています。
(ムーラン・ルージュ外観)
作品 ムーラン・ルージュにて
本作品は、画面前面の青色の女性の顔が真っ先に目にはいり、強く印象付ける作品です。
「ムーラン・ルージュにて」
(1892年)
女性の顔が青色なのは、下からの照明で照らされているためですが、鑑賞者を引き付けています。
また、女性は画面途中で切り取られており、体も半分のみ描かれており当時、パリで流行していた日本の浮世絵の影響が見られます。
一部、エドガー・ドガの影響とも言われています。
本作品に描かれている多くの人物がロートレックの知人で、ロートレック自身も描き入れています。
テーブルを囲んで談笑している男女はロートレックの知人達で、その奥の長身の男性と歩いている背の低い男性がロートレック自身です。
また、その隣で髪を整えている女性は人気ダンサーで、ロートレック作品にも登場するラ・グリュと言われています。
ロートレックの代表作であるポスター
「ムーラン・ルージュのラ・グリュ」
(1891年)
ロートレックはムーラン・ルージュの様子をおおく描いていますが、そのなかでも本作品は、より享楽的で退廃的な当時のパリの様子を伺うことができる作品となっています。
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