19世紀、イギリスの若い画家が集まって作ったラファエル前派の代表的画家ジョン・エヴァレット・ミレイの作品「あひるの子」です。
ラファエル前派は、当時の絵画の規範となっていたルネサンス盛期のラファエロ・サンティの画風の前、中世やルネサンス初期の画風で作品を描こうとしたグループです。
ラファエロを象徴とした当時の古典主義的な画風へ反発した若い画家たちの運動で、明暗は弱く、明るい色彩で、対象物を詳細に描くなどの特徴があります。
本作品「あひるの子」も少女は詳細に描かれています。また、少女自身は実在の人物ではないようでミレイの創作上の少女と言われています。
また、本作品は常設展示ではありませんが東京の国立西洋美術館に所蔵されています。
作品 あひるの子
モデルの少女はミレイの創作で実在の人物ではないと言われてます。ミレイの他の作品同様に人物描写は詳細に描かれています。
「あひるの子」
(1889年)
一見するかわいらしい少女とが描かれ、かわいさの演出のために足元にアヒルの親子が描かれているように見えます。
しかし、少女はしっかりとした視線で鑑賞者を見つめていますが目はどこか悲し気な印象も受けます。
また、髪も整えられていないようです。
また、足元に目を移すと少女の靴のつま先は穴があいており、かなりくたびれた感じがします。
また、服装も少女には大きい服を、帯の様な紐で無理やり合わせて着せているようにも見えます。
少女は、それほど裕福ではない家の子のようですが、視線は前をしっかりと見て、手にはハンカチを強く握りしめており、将来に希望をもっている印象を受けます。
本作品は、アンデルセンの童話「みにくいアヒルの子」がイギリスで翻訳された年に制作されており、少女の足元にアヒルの親子を描いていることから、ミレイはアンデルセンの童話「みにくいアヒルの子」を少女に投影して描いたと考えられます。
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