ポスト印象派とも呼ばれ、フランスで古くから続く貴族の家に生まれつつも踊り子や娼婦といったパリの夜の仕事に従事する女性を多く描いた画家アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの作品「赤毛の女(見繕い)」です。
ロートレックは、身体に障害を持っていたことから夜の女性たちの境遇に共感をもっていたようです。
本作品「赤毛の女(見繕い)」に描いている女性も娼婦の女性として描いていると思われます。
モデルを務めた女性が誰なのかを明確にはなっていませんが、ロートレックのモデルを良く勤め、赤毛だったシュザンヌ・ヴァラドンかもしれません。
ヴァラドンは、ルノワールなどのモデルも務めるとともに後に画家となっています。
また、本作品はロートレックが尊敬していたエドガー・ドガの作品から影響を受けた作品とされています。
作品 赤毛の女(見繕い)
ロートレックは、踊り子や娼婦と親密な関係を築いており、彼女たちの背景や境遇を良く知っていたことから、作品には女性の美しさよりも彼女たちの強さを表現したものが多くなっています。
「赤毛の女(見繕い)」
(1889年)
本作品に描かれる女性は鑑賞者に背を向け、表情は描かれていません。
娼婦を描いていますが、女性的な描写はありません。背筋を伸ばした様子は意思が強い女性を印象付けます。
上から後ろ姿の女性を描く描写は、ロートレックが終生尊敬していたエドガー・ドガの作品から影響をうけて描いていると思われます。
「浴盤」(エドガー・ドガ)
(1886年)
「髪を梳かす女」(エドガー・ドガ)
(1886年)
ドガはパステル、ロートレックは油絵と、違いはありますが女性の背中を何重にも線を描いて色彩表現をしている点は、ロートレックがドガの技法を取り入れたと思われます。
モデルを務めた女性が誰なのかは判明していませんが、ロートレック作品のモデルをよく勤めたシュザンヌ・ヴァラドンではないかと思われます。
ヴァラドンをモデルにロートレックは、当時の強くたくましく生活する当時の女性を描いています。
「洗濯女」
(1884年)
「二日酔い」
(1888年)
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