印象派の代表的画家で印象派創設に重要な役割を担ったエドガー・ドガの作品「浴盤」です。
印象派の画家とされていますが、ドガ自身は自分は写実主義と言っており、屋外の作品制作などはあまり行わず、屋内の人物の様子などを多く描いています。
特にバレーの踊り子を描いた作品を多く制作して、ドガの代表作となっています。
本作品「浴盤」は、最後の開催となった第八回印象派展に出展されたパステル画です。
同様な題材で複数の作品が制作されています。
作品 浴盤
バレーの踊り子のイメージが強いドガですが、本作品のようなたらいなどで水浴びをする女性を題材にした作品も多く描いています。
本作品「浴盤」では、斜め上からの視点で描かれており、画面を分けるような棚の描写など日本の浮世絵に影響されているとも言われています。
「浴盤」
(1886年)
独特な視点から描かれている本作品のモデルの女性は、不自然な姿勢を長時間強いられたと不満を述べていたことが分かっています。
本作品に描かれている女性は娼婦で、当時、性病予防の観点から娼婦は水浴びをしていたようです。
棚に置かれているブラシなどは煩雑に置かれており、より日常の娼婦の姿を表現しようとしたのかもしれません。
ドガは、本作品と同様の題材を複数枚制作しています。
「浴槽」
(1885‐1886年)
「足を拭く女性」
(1885‐1886年)
ドガは、一連の水浴する女性を題材とした作品では女性の表情を描いておらず、女性自身を描写する意識はなく作品の構図をより意識して制作したように思えます。
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