ルネサンス後の隆盛したマニエリスム期の代表的画家エル・グレコの晩年の作品「トレドの景観と地図」です。
現存するエル・グレコの風景画二点のうちの一点です。二点の風景画ともエル・グレコが後半生の38年間を過ごしたスペイン トレドの風景が描かれています。
本作品「トレドの景観と地図」は風景画であるとともに地図的要素が強い作品となっています。
本作品の注文主が地図の収集家だったことから、本作品の様式となっているようです。
作品 トレドの景観と地図
本作品は、現存するエル・グレコの風景画二点のうちの一点です。トレドの景観とともに地図が描かれており、地図には主要な建物毎に番号がふられています。
「トレドの景観と地図」
(1610-1614年頃)
画面右下にトレド市の地図が描かれ、主要建物名にが記載されています。注文主はエル・グレコの支援者で地図収集家でもあります。
画面中央に雲の上にあるように描かれているのは、注文主が管理している病院で現存しています。
画面には、現在でもトレド市の主要建築物で観光地となっているトレド大聖堂やアルカサル王宮が描かれています。
画面中、大聖堂の上に描かれているのは聖母マリアがトレドの守護聖人へ法衣をもって舞い降りてきた様子が描かれています。
トレドには、7世紀にトレドの大司教を務め後に聖人となるイルデフォンソが、聖母マリアから法衣を授かったという伝承があり、その様子が描かれています。
左下に描かれているのは、トレドを流れるタホ川の寓意像で、水瓶や果物などでトレドを讃えている様子が描かれています。
ギリシャ人であるエル・グレコはスペインへ移住、トレドで後半生の38年間過ごし多くの支援者を得て画家としても成功を収めています。
最晩年の作品である本作品では自身が愛したトレドを記録、讃える画家自身の気持ちも描かれていると思われます。
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