ムリーリョ 「窓辺の二人の女性」

絵画

17世紀バロック全盛期のスペインの画家バルトロメ・エステバン・ムリーリョの作品「窓辺の二人の女性」です。

ムリーリョは、スペイン絵画全盛期の画家で、宗教画を多く制作するとともに子供を中心とした当時の人々を描いた風俗画も多く制作しています。

本作品では幼さが残る若い女性とさらに年上の女性が、窓から外を見ている様子が描かれています。

若い女性の視線は鑑賞者に向けられているようにも見えます。

描かれている二人の女性の背景は、現在判明しておらず ”娼婦と世話役の女性” か ”上流階級の女性と使用人” とで意見がわかれているようです。

作品 窓辺の二人の女性

窓から若い女性と顔をショールで覆った大人の女性が外を見ている様子を描いた本作品は、窓枠で鑑賞者と女性達を隔てているような描写をしています。

窓辺の二人の女性
1655-1660年

1655-1660年
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
「窓辺の二人の女性」
ナショナル・ギャラリー蔵(アメリカ ワシントンD.C.)

窓の奥は暗闇となっており、肌の露出が多い服装の若い女性を際立たせているような印象です。

若い女性は笑顔で鑑賞者に視線を送っているような描写です。肩を出して肌の露出が多い服装から娼婦と思われていましたが、現在は上流階級の若い女性とも考えられており判然としていません。

どちらに関わらず、服装と笑顔から好意があるのは確かなようです。

隣でショールで顔を覆っている女性は、娼婦の世話役の女性もしくは若い女性の家の使用人と考えられます。

ショールで顔を覆っているにもかかわらず笑顔であることがわかります。

作品の構図ではバッロク絵画の特徴でもある明暗対比を若い女性の肌と部屋の中の暗闇でおこなっています。

対角線と上下の線で光があったている若い女性と光があたっていない年上の女性を配置して、鑑賞者の新線が若い女性から年上の女性へと行くような構図となっています。

ムリーリョはスペイン絵画黄金期の画家で宗教画を多く描いていますが、同様に当時の人々の様子を描いた風俗画も多く描いています。

風俗画では、神々しい宗教画での描写と違い、人間的な柔らかい描写で人物を描いています。

ムリーリョの宗教画 「エル・エスコリアルの無原罪の御宿り
1660-1665年

1660-1665年
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
「エル・エスコリアルの無原罪の御宿り」
プラド美術館蔵(スペイン マドリード)

ムリーリョの他の風俗画 「窓枠にもたれる農民の少年
1670-1680年

1670-1680年
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
「窓枠にもたれる農民の少年」
ナショナル・ギャラリー蔵(イギリス ロンドン)

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