印象派の画家とされていますが作品は写実的な作品が多いギュスターヴ・カイユボットの作品「窓辺の若い男」です。
「バルコニーの男」と呼ばれている場合もあります。
実家が上流階級のカイユボットは、若くまだ世に認められていない印象派の画家達を経済的にも支援していました。
本作品「窓辺の若い男」は当時の近代化の象徴ともいえるマンションの一室から外を眺める上流階級の男性が描かれています。
客観的で写実的な作品は、当時普及し始めた写真的な描写ともいえます。
作品 窓辺の若い男(バルコニーの男)
後姿の男性はカイユボットの弟をモデルに描いており、マンションの部屋も自身の部屋だと思われます。
「窓辺の若い男(バルコニーの男)」
(1875年)
後姿の男性が窓から外を眺めている様子が描かれています。男性の視線は街路を歩く女性に向いているようです。
他のカイユボットの作品同様に作品全体は強く遠近法を意識して描かれています。
「パリの通り、雨」
(1877年)
バルコニーの柵を境に詳細に描いた室内の様子と窓の外の様子が明暗も含めてはっきりと対比されています。
本作品「窓辺の若い男」では、唯一の登場人物の男性が鑑賞者に背を向けており、この男性の個性に対して鑑賞者が関心を頂くことは非常に低い描写となっています。
本作品でカイユボットは、当時普及がはじまった写真に示す客観性を表現しようとしたとも思われ、作品は非常に写実的な表現となっています。
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