印象派の代表的画家ピエール=オーギュスト・ルノワールが同じく印象派の創設メンバーでもあるクロード・モネの妻と息子を描いた作品です。
1870年代、モネは、エドゥアール・マネの支援もありパリ北西のアルジャントゥイユにアトリエを構え、マネやアルフレッド・シスレーなどがよくモネ家族を訪れていました。
本作品はちょうどマネがモネ家族を戸外で描写している際に、ルノワールが訪れマネの隣の少し離れた所にイーゼルを置いてモネ家族を描写した作品です。
作品 モネ夫人と息子
印象派がまだ世に認められる前、若き印象派の画家たちは互いに助け合いながら親密な交流をしていました。
また、既に有名な画家となっており上流階級出身のエドゥアール・マネは印象派画家たちを支援していました。
本作品は、マネがモネ家族を描いているところにルノワールがたまたま訪れ、マネと一緒にモネ家族を描いた作品です。
「モネ夫人と息子」
(1874年)
息子の顔を画面中央に配置し、体は対角線上に描いています。背景と人物を区別しない流れるような筆跡で描きながら画面の構成は鑑賞者の視線が人物に向かうような構成となっています。
一方、隣でモネ家族を描いていたマネは、より引いた視点で家族をえがいており、色彩の描写などもルノワールとは違ったものとなっています。
「アルジャントゥイユの家の庭のモネの家族」(エドゥアール・マネ)
(1874年)
マネの作品と比較すると、ルノワールはより平面的な描写をしており、木や草木は簡略化しています。
本作品はモネが生涯手元におき、晩年は寝室の壁に掛けられていたとも言われています。
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