17世紀オランダ黄金期の画家で、ヨハネス・フェルメールと同時期に活躍、お互いに影響しあったといわれる画家ピーテル・デ・ホーホの作品「女主人と召使」です。
幾何学的な描写と遠近法が特徴的なデ・ホーホの作品ですが、本作品でも背景は垂直的な表現を行っています。
作品では、召使が市場で買ってきた魚を女主人に見せている様子を描いていますが、召使はデ・ホーホをモデルにして描いているとされています。
女主人も誰かの肖像画ではないかとの説もありますが、定かではありません。
作品 女主人と召使
デ・ホーホやフェルメールが活躍したオランダ黄金期の作品は、当時、スペインから独立後、貿易で発展、富や権利を得始めていた市民の様子がよく描かれています。
「女主人と召使」
(1660年頃)
本作品では、女主人に召使が市場で買った魚を見せている場面が描かれています。バケツから魚の頭が出ています。
女主人は、椅子に腰かけ膝の上で裁縫をしており、床に置いてある籠にはリネンが入っています。
召使の方は、腕まくりしスカートも汚れないように捲し上げられており、持っている真鍮のバケツも光っており、この女性が仕事に熱心な印象を受けます。
この両者の描写は、当時のオランダで女性の美徳とされた家事に熱心な姿勢を表現しています。
召使はデ・ホーホの妻をモデルに描いたとも言われています。
背景は床や建物の壁などで直線的な描写をしており、画面に整然とした印象を与え、女性たちの勤勉さを強調しているようにも思えます。
二人の頭は、背景の柵や窓枠など直線の交差上に描かれており、鑑賞者が自然と視線が行くようにされています。
敷地と外を隔てる柵の開いた箇所から外の様子が描かれています。運河があり、運河の反対側に小さく若い男女のカップルが描かれており、勤勉を表現した作品に少しアクセントを与えているように思えます。
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