若い画家達が多かった印象派のなかで最年長として画家たちをまとめ、唯一、全8回の印象派展に出品したカミーユ・ピサロの作品「田舎の幼い女中(メイド)」です。
印象派の画家ながら、後にスーラやシニャックが確立する点描描写への関心や興味を抱いた時期の作品で、それまでの作品より細かい筆触となっていることが伺えます。
また、本作品制作の頃から風景画から人物画を作成することが多くなり、対象は農作業や家事など働く人々を描いています。
本作品では女中を主役に描いていますが、テーブルで食事をしている子供はピサロの息子がモデルとして描かれており、作品中の女中はピサロが雇っている女中であるとされています。
作品 田舎の幼い女中(メイド)
主に風景画を描いていたピサロが人物画の制作に移行し始めた時期の作品です。
自身が雇った女中を描いており、テーブルには自身の息子を描いています。
「田舎の幼い女中(メイド)」
(1882年)
幼い女中の表情までは描かれていませんが、どこか寂しそうな印象を受けます。
女中は床の掃除をしていますが、動きは感じられません。
少し中心線から外したところに女中を配置をしつつ、モップを持つ手首を画面中心に据えておりともて安定感のある構成となっています。
また、テーブルとその上の皿やポットによる円形、扉や額等の四角形、椅子の足やモップなどの直線が画面中にまとめられて配置されており、鑑賞者に安心感を与えています。
テーブルと子供が画面で切れる描写は友人のエドガー・ドガが浮世絵の影響でよく描写した方法ですが、ピサロもドガの影響により同じような描写をしたと言われています。
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