ヘラルト・テル・ボルフ 「手を洗う女」

絵画

17世紀のオランダ黄金期の画家ヘラルト・テル・ボルフの作品「手を洗う女」です。

ヨハネス・フェルメールなどと同時代の画家ですが、テル・ボルフはヨーロッパ各地を旅しており、スペインでは騎士の称号も与えられています。

オランダ黄金期では、それまで絵画に求められていた宗教的場面の描写となる宗教画ではなく、人々の様子を描写した風俗画や肖像画の制作が求められ、テル・ボルフも風俗画や肖像画を多く制作しています。

本作品「手を洗う女」は当時のオランダで女性に求められていた事を表す寓意画的な作品となっています。

作品 手を洗う女

テル・ボルフは当時の人々の生活の様子を作品にしていますが、本作品「手を洗う女」では当時のオランダで女性に求められた事を表現しています。

1655‐1656年
ヘラルト・テル・ボルト
「手を洗う女」
ドレスデン美術館蔵(ドイツ ドレスデン)

作品の主題となっている手を洗う行為は、清純、純粋などを表しています。

また画面、左下に描かれた犬は誠実、忠実のほか貞節などの意味があり、両描写とも当時のオランダで女性が求められていた事を表現しています。

テル・ボルトは衣服の描写、とくにサテンの光沢の表現に高い評価を受けており、本作品では女中の暗い色の衣服との対比もあり、鑑賞者の目を引きます。

画面構成は、主人公となる女性を中心に配置し、手を洗うためにかがめた上半身は対角線上に描写しており基本的な構成で安心感を与えています。

また、対角線右下に人や犬を集め左上に静物を集めた構成となっています。

鑑賞者はまず、二人の女性、犬、そして最後に静物のある左上に視線が誘導されるかと思われます。

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