ヨハネス・フェルメールと同時代、また、同じオランダのデルフトで活躍し、フェルメールにも大きな影響を与えたピーテル・デ・ホーホの作品「ゆりかごの横で胴着を結ぶ女性」です。
17世紀オランダ黄金期では、貿易を通じて市民たちが力を持つようになり、それまでの宗教画から一般の人々を描いた風俗画や肖像画が人気を得るようになります。
特に女性や主婦の生活の様子を描きながら、当時の女性に求められる事を寓意として作品に描く画風が流行ったようです。
デ・ホーホも当時の人々の様子を描いた風俗画を多く描くとともに遠近法を強く意識した作品を制作します。
作品 揺りかごの横の胴着を結ぶ女性
整理整頓された陽の光が差し込む部屋で、授乳を終えたばかりの女性が胴着を結んでいる様子を描いている作品です。
「ゆりかごの横で胴着を結ぶ女性」
(1660-1663年)
ゆりかごのなかの赤ん坊は描かれていませんが、女性の視線や仕草から赤ん坊がいることがわかります。
陽の光が対角線上に綺麗に描かれており、ゆりかごや若い母親を照らしています。
若い母親の足元には犬が描かれていますが、当時の絵画では犬は忠誠や貞節を意味します。
また、奥の部屋には少女が外を見つめてたっており、ゆりかごの中の赤ん坊の将来の姿と明るい将来を表現しているのかもしれません。
女性の後ろには寝室となっており、ベッドが描かれています。
デ・ホーホは、画面の中で女性もしくは人間の一生を描いているのかもしれません。
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