印象派の代表的画家クロード・モネの作品で、後のモネの代表作である「睡蓮」の連作に通じる試みが見られる作品「エプト川のボート遊び」です。
作品中に描かれているボートの上の女性二人は、モネの再婚相手の連れ子の娘二人です。
モネは、パリから70kmのシヴェルニーという場所に移住、付近を流れるセーヌ川の支流のエプト川にボートを浮かべて遊ぶ娘二人を描いています。
また、水の揺らめきや水面が反射する光の様子を描く探求をしていたモネは、エプト川でボート遊びをする娘の様子を複数描いています。
本作品「エプト川のボート遊び」では、水面の揺らめきとともに水中の水草のゆらみきも描く試みをしています。
作品 バラ色のボート
本作品は、他のエプト川を題材にした作品と違い、水中の水草の揺らめきを描こうとした挑戦的な作品です。
「エプト川のボート遊び」
(1887年)
本作品で、半分以上のスペースを割いて描いている水面の描写が鑑賞者の目を引きます。
うねるような描写は水中の水草を表現しており、水面の揺らめきと水草の揺らめきを描こうとしています。
モネは晩年、自宅に睡蓮の池を作り、睡蓮を題材にした多くの作品を制作しますが、本作品の水中の水草の表現は後にモネの代表的作品とのなる睡蓮の連作につながる試みとなっています。
「睡蓮の池」
(1899年)
「青い睡蓮」
(1916-1919年)
また、作品の構成はボートを漕いでいる娘が画面外に切れており、日本の浮世絵の影響を印象付ける構図になっています。
また、人物がこの作品の主題ではないことが分かります。
本作品の他にモネはエプト川でボート遊びをする娘の様子を複数描いています。
他の作品では、水面が映す人の様子や光の揺らめき様子を描いた作品となっています。
「舟遊び」
(1887年)
「ジヴェルニーの舟遊び」
(1887年)
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